店頭販促什器の現状と課題から「商品が売れる売り場」を考える
- 売り場の現状
- 「価格訴求」から「価値訴求」へ
- 売れる販促什器(POP)のキーワード
1.売り場の現状
消費者の購買行動は、かつては店頭がほとんどでした。近年はネット通販の台頭、SNSを中心としたWEBプロモーションなど新たな広告手法も増え、店頭でのプロモーションや売り場の果たす役割も変化しつつあります。
しかし、消費者の購買行動の最終選択として、売り場の重要度・店頭販促の使命が高いことに変わりはありません。そのような重要度の高い売り場ですが、メーカー・流通・小売の想いがバラバラになっており、消費者の心に届いていない店頭も見受けられます。
メーカーとしての課題
「競合商品・類似商品の増加で自社の商品が埋もれがちになっている。」「店頭販促物がタイムリーに店頭で活用されていない。」せっかく作った店頭販促物が店舗、売り場に設置されず、メーカーが用意した販促物の約7割が全く使用されず処分されているという話も耳にします。そのため、作り手と売り手の想いが反映されず売り場に並んでしまい、商品の価値訴求ができない(思いが伝わらない)ことが残念ながら多々あります。
流通・小売りとしての課題
小売の各店舗には日々多くの商品がバックヤードに積まれていきます。店舗スタッフの作業は、新商品の大量陳列、定番カテゴリーの整備、在庫管理、欠品補充、接客などに追われ、メーカーの想いを踏まえて、商品を売るための動機付けを行う時間も手間ないのが現状です。これでは、主役である買い手を無視した売り場になってしまいます。
地域性の課題
数年前までは、メーカーが全国で画一的な販促ツールを大量に作成し、店頭に送りこんでいました。しかし店舗の面積は、大型店(GMSなど)もあれば、小型店(SMなど)もあり、スペースの都合上、販促ツールが設置されないこともあります。また、個店ごとの客層、地域性を無視した売り場では商品は売れません。メーカー側も個店ごとに販促物を作成するわけにはいかず、対応しきれていないのが現状です。
2.「価格訴求」から「価値訴求」へ
「商品の認知→理解→購入」の消費者の購買行動の流れにおいて、店頭は買い手にアプローチするための強力な接点になっています。商品の魅力を正しく伝え、理解してもらえる場所という店頭の強みを最大限に活かし、「購入の後押しをする」「自分ごととして共感できる仕掛けを作る」を意識し、購入に繋がることが、メーカー、流通、小売、買い手にとってwin-winになる売り場づくりであり、店頭販促什器(POP)はメーカーの「想い」を買い手に伝える重要な架け橋になる役割を果たします。
3.売れる販促什器(POP)のキーワード
最初に挙げたメーカー・流通・小売りとしての課題である「設置のしやすさ」、2.に挙げた「商品の魅力を買い手にいかに伝えられるか」が、商品が売れる販促什器(POP)の大きなポイントになり、下記1~7が具体的なキーワードになってきます。
- 1.価値訴求・・・商品を買う価値を明確にすれば「興味→共感→購買」とつながる。
- 2.商品コンセプト・・・何の目的で開発されたのか、ターゲット、材料、価値の表現が必要。
- 3.存在感・・・店頭でいかに目立つか。インパクトのある形状、色、デザイン、コピーで認識させる。
- 4.商品の顔が見える陳列・・・商品本体・パッケージは価値訴求ができる販促物のため、陳列したときに隠れないようにすることが一般的。
- 5.サイズ・・・一般的なゴンドラ什器の大きさを考慮し、カウンター什器:ワイド300、450、600、900mmをベースとして設計。奥行は250~280mm程度で設計がのぞましいとされる。
フロア什器:ワイド450×高さ看板含め1500×奥行350mm以内がのぞましいとされる。
ハンガー什器:ワイド300×高さ600×奥行200mm以内がのぞましいとされる。 - 6.強度のある構造・・・什器の設置後、什器の不具合により、補強・補修等が生じると、 店頭スタッフの負担になり悪い評価となるばかりでなく、お客様の怪我にもつながる恐れもある。そのため商品陳列に耐えうる充分な強度のある構造設計をする。
- 7.設置が簡単・・・人手不足の店舗スタッフは、組立設置が面倒な什器等は設置しない傾向にある。什器の設置を専門とするラウンダーやメーカーのフィールドスタッフは、時間がかかると苦情となりメーカーへ報告されることがある。そのため、開梱からすぐに設置ができる什器がどの場面においても好まれる。商品同梱仕様の場合は設置率が100%に近いとされる。ドラックストアにおいては、ラウンダーやフィールドスタッフが入れない店舗もあり、商品同梱什器の需要が高まっている。